PRODUCTION NOTES

 1989年にスパイク・リーが手がけた『ドゥ・ザ・ライト・シング』が公開され、カンヌ国際映画祭で注目を浴びた。2018年5月、リーは『ブラック・クランズマン』を発表し、カンヌ国際映画祭でプレミア上映され再び注目を浴びた。『ブラック・クランズマン』は高く評価され、審査員特別グランプリを受賞した。ひとりの男の偉業を称えた衝撃の実話として、また、現在の政権のもと復活しつつある白人至上主義に対する強い批判として評価されている。ロン・ストールワースの物語は、間違いなく現代社会に通じるものがある。

 ワシントンはこう語る。「この作品のテーマが色褪せることはない。現代に生きる僕たちも同じ問題を抱えている。現代にも共通する問題だからこそ、コロラドスプリングスの警察署で、ロンの目的達成のために白人以外の職員が協力していたことを知って、安心したような、驚いたような、嬉しいような気持ちになったんだと思う。1970年代のコロラドスプリングスでできたなら、いまでもきっとできるはずだ。この作品に描かれているのは、ぼくらのことだ。いまの社会の人々の行動が映し出されている。フィクションじゃない」

 製作のジョーダン・ピールはこう語っている。「現在のアメリカは、善い人と悪い人の感覚を失いかけているように感じる。ナチ主義、白人至上主義、KKKは悪い人たちで、ヘイトグループだ。この映画は、大勢の人を惹きつける作品ではないが、人種差別や白人至上主義の思想が揺り戻ってきているアメリカで、わたしたち一人一人の道徳的な指針をリセットする役割を担っている。」
 『ブラック・クランズマン』はアメリカで2018年8月10日に公開された。この日は、バージニア州シャーロッツビルで開催された極右集会のちょうど1年後だった。この集会に反対したヘザー・レイヤーは抗議活動を行い亡くなった。『ブラック・クランズマン』の観客は、ストールワースの体験に感情を揺さぶられるだろう―しかし、同時に、戦いを始めようとする者は、勇気付けられるに違いない。

 ハリー・ベラフォンテはこう語る。「かつてマルコムXは言った。『わたしたちは、自由に使えるものは、なんでも使って生き残らなければならない』と。芸術や、映画、文学の力を通して得た情報のみ、人々は受け入れることができる。なぜなら、アメリカに住む白人の多くは、アメリカに住む黒人の苦しい状況をいつまでも考えたりしないからだ。彼らは白人であることの特権を見つけ、優越感に浸るので忙しい。しかし、この国の何百万人という国民に関わるこの不当行為を、全神経を集中させて取り組まない限り、わたしたちはひとつの国として、それぞれの存在や考え方を調和させることは不可能だと感じている」

 最後にスパイク・リーはこう締めくくる。「この作品は、僕らが暮らす現代社会に対する実験なんだ。それから、愛と憎しみの文化抗争に対する実験でもある。『ドゥ・ザ・ライト・シング』のなかでラジオ・ラヒームがつけていたナックルリングみたいに。『狩人の夜』(55)で、ロバート・ミッチャム演じるハリー・パウエルの指のタトゥーみたいに。愛 VS 憎しみ。僕たちは、成功することを祈るしかない。この映画に共感してくれる人がいることを願っているよ」