PRODUCTION NOTES

『ブラック・クランズマン』はコメディではないが、リーとウィルモットは、ユーモアが物語に織り込まれることで、作品全体の緊張感がほぐれると考えた。「ジョーダン・ピールからの注文はひとつだけ。『笑える作品にしろ』」と語るのはウィルモットだ。「ぼくらがこの作品を通してしようとしていたことは、重くなりがちな人種問題とヘイトグループの姿をスクリーンに映し出すこと。そして、この国で長い間行われてきた恐ろしいことを示すことだった。そのためには、そのテーマを使って人を惹きつける方法を考えなければならなかった。ロンがKKKに潜入できたのも、よく考えてみると笑えてくる。ストーリーを語るうえで、そういうおかしさというか、ばかばかしさをすべて出したいと思った」

 ストールワースとデュークのやりとりはとても衝撃的で、コミカルにすら感じてしまう。お互いの敵意をユーモアに変える脚本を、独創的だとトファー・グレイスが語る。「こういうジャンルの映画の撮影現場って、いつも暗い感じなんだ。作品のテーマが重いから。でも、スパイクとジョーダンの何がすごいって、ユーモアの魅力を理解しているんだ。ユーモアのある作品は、より多くの人を惹きつけることができると思う」

 痛ましいシーンに向き合う際に、一種の軽さは、役者の助けになる。悲惨なシーンで役者たちは、今まで口に出したことのないような差別的なセリフを次々と言わなければならない。製作のショーン・レディックがこう語る。「ジョンが撮影の間、明るいムードを保とうとしているのが分かった。ストレスを軽減させるために、彼は空手の型を練習していた。スパイクは、その動きを作品の中に残したんだ。ロンが宙にパンチをし続けるシーンがあるんだけど、ロンはそうやって自分を調整している。ジョンは、武術で自分自身をリセットして、リラックスさせるんだ」

 トファー・グレイスは、デビッドのような嫌な男を演じるのは難しい、と今回の撮影を通して気づいたという。KKKのシーンで、1915年に作られた『國民の創生』を上映して、集まった人たちが笑顔で歓声をあげる瞬間は特にゾッとした、と話している。グレイスによると、リーは計り知れないほどのサポートをしてくれたという。「撮影中に、僕は少し時間を取ってデビッドから離れたいと思ったことがあった。そのときは本当に最悪の気持ちでつらかった。どんな演技をしてもどこか違うような気がしていた」グレイスは続ける。「スパイクは、僕のところにやってきてこう言ったんだ。『トファー、心配しなくていい。今日がたまたま悪い日だったんだ。僕がこの作品を通して言いたいことの一部を担っている、と思ってくれればいい』スパイクは、僕の気持ちを落ち着かせてくれて、いろんな言葉や行動で気遣ってくれた」